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今年の「登山」、いったいどうなる・・・?




新型コロナウイルスの影響を受けて、ほとんどどこにも行けないゴールデンウィークも終わり、是非はともかく、日本でも緊急事態宣言の解除に向けた動きが活発化してきました。

こうなると今年の登山、どうなるんだろう、というところが気になってきます。
現状では、各地の山小屋では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、今シーズンの営業を取りやめるところが出てきました。




富士山については、富士宮口と吉田口の2ルート上にある山小屋、計25軒が2020夏山シーズンの休業を発表しています。残る御殿場・須走口のルートについても近く発表があるものと思われますが、状況からみると休業の公算は大きいのではないかと。

南アルプスでも、北沢峠こもれび山荘、塩見小屋、西駒山荘、仙丈小屋の営業休止を発表(2020/5/7時点。その後お知らせが消えている模様?)。

一方で、八ヶ岳の赤岳鉱泉・行者小屋も11月末までの休業を発表されています。

新型コロナウイルスの状況を見て、再開等の方針も打ち出されているので、こちらはもしかすると早めに再開される可能性もあるかも、です。

その他、休業を発表されていないエリアでも、多くは7月中旬ごろまで、または緊急事態宣言発令中は営業を見送っているケースが見られます。

つまり、少なくとも5月中は、山小屋が営業していない可能性が大きい、という事になります。

■山小屋が営業していないことで、どういったことが予想されるのか。
基本的に、従来山小屋に頼っていたことが出来なくなる、という事です。

・トイレ使用不可
・水場が整備されない
・飲食等も提供されない
・登山道の整備に影響が出る可能性(林業などの人も使うので全く整備されないとは限らない)
・夏山でいえば、夏季限定の診療所等も開設されない可能性
・山小屋が営業していることで利用できるはずの携帯電話・スマートフォンの基地局が稼働しない可能性
 緊急時の連絡が出来ない
・小屋が営業していないので、緊急時に飛び込める場所が無い。

上記だけでも、一般的なハイカーにはリスクがあるといえるでしょう。


■その他懸念されることは?

・山小屋が利用出来ないことによる入山者数の大幅減少
→山小屋にとっては営業的な側面でのデメリットがあるが、登山者にとっては人と遭遇する確率が低くなることで緊急時の情報入手が困難になる可能性がある
・テント場も閉鎖される可能性が高いが、一方で闇テント泊が増える可能性も
・小屋番が常駐しなくなることにより、小屋のセキュリティ面での不安
→現に閉鎖中の八ヶ岳・行者小屋では不法侵入あり。また奥秩父大弛小屋では不審火あり。
・トイレ使用不可に伴う小屋/登山道周辺の汚染


■ハイカーに求められる「今」の山とのかかわり方とは。

個人的な見解ではありますが、一部の職業としての入山をのぞいて、一般的な登山者が山に行くことは、難易度の差に関係なく「遊び」です。
故に、現時点でこれを正当化する要素は無いのではないでしょうか。
(一部で愚行権を挙げる人がいますが、入山し万が一遭難し救助を求める時点で「他者への迷惑」をかけていることになるので微妙なところでしょう)

とはいえ、今後、いつになるかわかりませんが、いずれ緊急事態宣言が解除されれば、必然的に人手は多くなり、山へ行く人も増えてくるでしょう。
しかし、だからと言って新型コロナウイルス感染のリスクがゼロになるわけではありません。
つまり、入山においては従来の登山におけるリスクに加えて、新型コロナウイルス感染しない、させないといったリスク管理も必要になってきます。

例えば、以下に記載するのは自分が思いついたかかわり方の案ですが、、、
・遠征を避け、近隣の山に限定する
・バリエーションルート、危険を伴う山行を避ける
・日帰り、かつ15時までに下山出来るルート
・大人数での登山を避ける。
・入山・下山時の届け出の徹底
・登山前の検温や体調管理を従来よりも徹底。
・体調に異変のある場合は入山しない
・万が一のビバーク装備、また食料・水等は十分に携行する
・登山道ですれ違う際に出来るだけ立ち止まって、お互い顔を向けないようにする
・エチケット用にマスクまたはバンダナ等を装着する
・ベンチや東屋、山小屋で休憩する際はマスク着用
・除菌ウェットティッシュなどを自前で携行する
・携帯トイレ等を持参する

他にもまだまだあるかもしれませんが、こうして改めて文字にしてみると、普通に登山のマナーやルールとして守っておくべきことを改めて徹底する、という部分も多くありますね・・・。


■山岳四団体からガイドライン的なアナウンスを。

個人的に一番思うのは、4/20に「日本山岳・スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会」が共同声明としてアナウンスした「<山岳四団体声明>山岳スポーツ愛好者の皆様へ」のように、分かりやすい形でのガイドライン的なアナウンスを出してほしい、という事です。

この時は、各方面から「共同声明が遅い」と突っ込みがありましたが、やはり業界を束ねる団体が声明を出す、という事は、ハイカーにとってもですが、他、山にかかわる人たちにとっても一つの指標となると思います。
もちろん、地域ごとにより感染リスクや山岳事情も異なるでしょうから、すべてに対して均一のガイドラインというのは難しいと思います。しかし、例えば
・入山時の1パーティの人数
・登山道ですれ違う時のエチケット
・休憩時のソーシャルディスタンス
・山行スタイルの提言(テント泊や長期縦走を避ける?)
・個人レベルで感染を防ぐための手段(除菌ティッシュ持参など)
・携帯トイレの携行
・水や行動食を多めに持つ
など、地域差を考慮しなくても策定できるものもあると思うのです。
一番怖いのは「山小屋がやってると思った」的な発言が出て、それが大きな事故につながってしまう事ですから、その周知の意味でも必要な気がします。


■アフターコロナにおける日本の山岳事情はどうあるべきか

これは余談になりますが、山ではよく「自己責任」という言葉が多く使われます。
もちろん、その側面が大きいのは理解していますが、今回の新型コロナウイルスがきっかけとなり、もはや「自己責任」では負いきれないリスクが大きくなっています。
※先日記事にもした、八ヶ岳の遭難のケースは明らかに従来の救助ケースと異なるリスクが発生しています。

そう考えると、今、新型コロナウイルスがもたらす様々な変容は、日本の山岳事情にも当てはまるものではないかと思うのです。
個人で負いきれない責任は、ハイカーみんなで負担すべき。
もうとっくにそうなっているべきだったのですが、このコロナのタイミングはチャンスなのでは。

端的に言えば、個人的な意見としてはやはり山岳地域での「入山料の徴収」です。
いきなり全国展開は難しいでしょうから、主要なところからでもいいと思います。
富士山ですでに実施されていますが、このケースを展開でもいいと思います。
海外では国立公園に入る際にパーミッションを取ったりしますが、日本の国定公園にはそれがありません。今までがフリーダム過ぎたんじゃないかと思うくらいです。
入山料を支払うことでの「連帯責任」。これは、個人の山岳保険や山小屋の利用料とは別に、救助活動における活動費用、登山道整備、また、新型コロナウイルスに対応するための様々な備品・取り組みに利用されればよいと思います。
もっと言えば、昨年一時期問題となっていた、山小屋への物資運搬問題の解決へとつなげられるかもしれません。


最後はかなり都合の良い理想論になってしまいましたが、それはさておき、ガイドラインは欲しいですが、それ以前にもましてハイカーのマナーやルール尊守が、一層求められることになることは、心に留めておきたいですね。