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ハイカー、トレイルランナー、クライマーの皆さん。
今は「山に行くな」ですよ。


既に登山クラスタ内では、今、世界で大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19) による、登山における様々なリスクについて議論されており、一定の人達はそれを理解し、登山自粛を行っています。もちろん自分もその一人です。

しかし、大変残念なことにそれらのリスクを知ってか、知らずか。
知らずともそもそも不要不急の外出を控えるよう自粛要請が強く出ているような、このような状況下においてもそれを無視して登山してしまう人は、一定数居ます。

まず、初めに声を大きくして言いたいのは、
「今は、山に行くな」
という事です。
自分がこれを言う事については、なんの強制力もありませんし、中には「お前何様?」みたいに思われる人もいるかもしれません。
それでも、聞いてほしい。その上で山に行かないでほしい。
何故、今、山に行くべきではないのか。

■そもそも「今」山に入るリスクは高い。
・春先は気候の変化が大きく、天気が急変することもある=気象面でのリスク。
・高山帯ではまだ残雪があるが、気温の上昇に伴い雪崩のリスクが高くなっている。
・新型コロナウイルスによる自粛の影響で入山者数が絶対的に少ない=遭難時の認知・発見が遅れるリスク。
・入山者数が少ないため、例年より野生動物が活発化している可能性があります=獣害のリスク。
・山小屋の営業も自粛されているため、緊急時に駆け込める場所がない、可能性がある=遭難のリスク。

パッと思いつくだけでも、「山に入る」という事だけでこれだけのリスクがあります。

■「3密」を避ければよい、という免罪符は効かない
山においてはいわゆる「3密(密集、密閉、密接)」は避けられるから大丈夫、とよく言われているのですが、ここは大きな落とし穴があります。
緊急事態宣言以降、継続して山に入っている人はたいてい「3密を避けるために単独で〜」と、ソロで入山している人が多いです。さらには他の登山者を避けるために早朝の時間、遅い時間、あるいは普段ならあまり歩かないルート(バリエーションも含む)を選択している傾向が見受けられます。
これらの要素は、通常であれば避けるべき山の登り方です。
これにより3密を避けているから大丈夫、ではなく、山では3密を避けることが原因で遭難リスクが高くなっているとも言えます。

■いざ遭難してしまうと起きること
これについては、つい先日(4月26日)に八ヶ岳・阿弥陀岳で発生した遭難事故における救助の事例がもっとも分かりやすいでしょう。


今回の遭難者は、東京在住の30代男性。緊急事態宣言により外出自粛、他県への移動自粛等が要請されているエリアに住んでいる方です。
今東京は日本国内において感染者数がダントツで多く、当然、救助する側においても感染リスクが生じます。この男性が感染していないという保証はどこにもないからです。
結果としてこの男性は救助後に受けた検査により陰性と確認され、救助隊の自宅待機も2日間で解除となりました。しかしこれがもし陽性だったらどうなっていたでしょうか。
その瞬間、このエリアでの山岳救助体制は崩壊してしまうのです。
これについては、以下の記事がとても分かりやすい例として書かれています。


「外国の話だから・・・」ではないのです。現に八ヶ岳の遭難事故では、この状況に近いところまで迫ってしまっていたのです。
これは、山岳救助の崩壊だけではなく、市街における医療負担の増加、さらには医療崩壊への速度を上げてしまう可能性があります。
もし、あなた一人が遭難したとして、それでもご家族、友人、恋人、悲しむ人はいるでしょう。
それが、今、あなたが山で遭難してしまうと、もっと多くの、救えるはずの命が救えない可能性があるのです。
それをそれを想像してください。


■だから、今山に行ってはいけない
3密をさけていれば、山に行けば元気になる、山からパワーを貰える、低山だから、ソロだから、、、
様々な理由をつけて山に入る人がいます。
いずれも、何の根拠もありません。山に行かなくても3密を避けられます。あなたは元気になれるし、パワーだって貰える。一人で出来る事は他にもたくさんあります。
ただ、山には行くな。
今は。

いつまで。とは誰も言えないでしょう。ただ自分は今年は夏山もだめなのではないかと思ってます。
もしかしたら年内いっぱい、年が明けてもまだダメかもしれない。
そのためにはまず市街地における医療体制の平常化が大前提でしょう。これがなければ登山などできないのでは。
でも、いち早く平常化するには我々一人一人が責任をもって自粛を続ける必要があるんです。
何かと理由を付けて山に行っている方。もしくは周りにそういう人が居たら、ぜひ、ひと声かけて止めてあげてください。

今は山には行くな、と。

※あくまで個人的見解ではありますが、一日も早くこの新型コロナウイルスが終息するためにも、みなで協力しましょう。