忘れられない一日の始まり。
DSCN8126_R
裏銀座ハイク2日目の始まりです。


夜23時過ぎ。
トイレに行きたくなって目が覚めてました。テント内は結構結露が酷くて、持ってきたマイクロファイバーのタオルで何度かふき取り、水を絞るためテントから外に顔を出してみると・・
寝る前まではガスで何も見えなかった空が、すべてガスが無くなり満天の星空に変わっていました。
DSCN8089_R
慌てて外に出て写真を撮ってみたのですが、なかなか上手く写らず・・・撮影した写真を加工しまくって、ちょっと色がおかしくなってますが、テントの上の奥辺りに鷲羽岳の姿がはっきりと写っています。今回の山旅で初めてその姿をはっきりと見る事が出来ました。
星空に黒々と浮かぶそのシルエットは、もう迫力の一言に尽きます。トイレに行きたかったのですがしばし忘れてその姿に圧倒されていました。

テントに戻って再びシュラフに潜り込みますが、なんだか興奮してしまって寝付けません。途中ウトウトとしては見たものの熟睡は出来ず、浅い眠りを繰り返しながら気づけばもう3時30分。
こうなったら予定よりは少し早いけど、行動を開始して早めに山頂へアタックすることにしました。
シュラフから起き上がった時にテントの内側に頭が擦れたのですが、その時何か白いものがパラパラと落ちてきました。
なんと、結露がテント内でバリバリに凍っていました。道理でなかなか寝付けなかったわけだ・・・。
DSCN8091_R
目覚ましのコーヒーを飲むためにお湯を沸かし、次いでササっと朝ごはんを済ませます。
ちなみに朝ごはんは山荘で購入したカップラーメン。今回の旅の一番の反省点は、食事が兎に角貧相だったこと・・かなw

DSCN8093_R
暗すぎてフォーカスが甘いのですが、ドン・・・と浮かび上がる巨大な山体のシルエット。
見ていると身震いしてくるよう。
DSCN8095_R
4時29分、東の空が白み始めたころに三俣山荘を出発。
いよいよ長年憧れ続けた山の頂へと歩き始めます。

暫くはハイマツ帯を縫うようにトレイルが続き、伊藤新道との分岐を左手に上がっていくと鷲羽岳へと続く登りへと取りつきます。
DSCN8096_R
この辺りを登っているときは、とても心が静かでペースも安定していて不思議なくらいでした。
風の音も無く、周りに同じタイミングで登っているハイカーも居ません。
まるで世界が山と自分だけになってしまったような感覚。
DSCN8099_R
そんな静かな世界に徐々に光が差し込み始めます。右手には槍ヶ岳と北鎌尾根のシルエットが音も無く浮かび上がってきました。
DSCN8100_R
背後には、前日は真っ白で何も見えなかった三俣蓮華岳と丸山の姿が。
DSCN8101_R
よく見ると左手奥には三角の笠ヶ岳の姿も。
なんだろう、段々と山の姿かはっきりとしてくるその様は、まるでオーケストラで次々と楽器演奏者が曲に加わっていくかのよう。
DSCN8103_R
槍ヶ岳→西鎌尾根→樅沢岳→奥には焼岳と乗鞍岳→双六岳→笠ヶ岳。
DSCN8104_R
笠ヶ岳→丸山→三俣蓮華岳→黒部五郎岳。
DSCN8105_R
北アルプスの織りなす壮大な景色の中、稜線の西側に入った時、前方右上に山頂が見えてきました。
ついに、このまま足を進めていけばあの頂についに届く。
心拍数が上がっていくのは、ハイクアップせいだけじゃなさそう。
DSCN8106_R
再び東側に入ると、眼下には鷲羽池と槍ヶ岳を筆頭とする表銀座〜穂高連峰の峰々。
DSCN8107_R
朝焼けに染まる空の下、山頂へと続く最後の登りに差し掛かった時、東の空から眩しいばかりの朝陽が登ってきました。
DSCN8108_R
この瞬間。
突然、本当に突然、目から大粒の涙が溢れ出てきてしまいました。
本当はこの日の出が素晴らし過ぎて笑おうとしたんだと思います。だけど3分の1くらいは笑っているんだけど、残り3分の2くらいは、泣いてました。

なんだか分からない感情が一気に込み上げてきて、抑える事が出来なかったみたいです。
ずっと来たかった憧れの山。
3年前にはついにそのチャンスを得て挑んだものの、疲労に加え悪天候により断念。
その後も幾度となくチャンスを逃し続け、正直今回だって前日ガスに覆われた山頂を見たとき、まあ、真っ白だとしても山頂は山頂だしな・・と半ば諦め気味でした。
それがついに、こんな素晴らしいシチュエーションで山頂を踏むことが出来るなんて。
たった1度のチャンスかもしれないけど、そこに最高の舞台が待っていたなんて。

凄く大げさだけど、今までの、本当に今までの辛かった山行とかいろいろな事が、一瞬ですべて報われた気持ちでした。

山頂には数名の先行者がいて、泣きながら近づいていくのも恥ずかしかったけど、もうどうでもよかったし、どうにもなりませんでした。
DSCN8111_R
DSCN8113_R
2017年9月3日 5時20分。
鷲羽岳山頂。
DSCN8117_R
山頂にいた若いハイカーさんにとって頂きました。
右奥に見えているのは大天井岳〜常念岳のピーク。
DSCN8119_R
もう1枚は槍ヶ岳もセットで。

山頂からの景色も絶景でした!
DSCN8120_R
ワリモ岳〜水晶岳〜野口五郎岳、中央奥には針ノ木岳〜鹿島槍ヶ岳、そして白馬三山の姿。
DSCN8122_R
一際大きな山体の薬師岳。
DSCN8125_R
大きなカールが美しい黒部五郎岳。
DSCN8124_R
焼岳〜乗鞍岳、奥には御嶽のシルエット。そして双六岳〜笠ヶ岳、丸山〜三俣蓮華岳。
DSCN8123_R
槍ヶ岳に、中央やや左に富士山も。

DSCN8126_R
未踏峰に登ったわけでも、特別大冒険を成し遂げたわけでもないけど、この登頂は一生忘れないと思います。

山頂からの風景を目に焼き付け、後ろ髪を引かれる思いで下山。
DSCN8127_R
DSCN8130_R
太陽が昇ってくるに連れて大きくなる陰鷲羽。
DSCN8132_R
すっかり明るくなり、2日目も心地よい秋晴れの空が見えてきました。
DSCN8135_R
DSCN8140_R
前日は見えなかった鷲羽岳の全貌が秋空に浮かびます。
本当に素晴らしい山頂でした。
DSCN8141_R
6時ちょうど。
三俣山荘まで戻ってきました。山荘前は出発のハイカーで賑わっていました。
DSCN8142_R
結露で濡れたタイベックのシートとテントを乾かしながら、朝ごはんを食べてつつ撤収準備。
DSCN8144_R
撤収が完了するころにはすっかり日が昇り、すでに若干暑いくらいに・・・。
DSCN8145_R
三俣山荘ともそろそろお別れ。
心残りなのは、ご自慢のサイフォンコーヒーを飲み忘れたこと・・・。
そして、夜喫茶も行けなかったこと。今度来るときはもう少しゆとりのある行程で訪れたいものです。
DSCN8146_R
7時20分、鷲羽岳に見送られながら三俣山荘を出発。
まずは三俣蓮華岳と双六への巻き道の分岐へと向かいます。その先どのルートを採るかは、まだ悩み中・・・。

つづく。