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熊鈴、使ってますか?
 

GWも終わって、ようやくこれから登山シーズン!という人も多いと思います。
各地の山では残雪も消えはじめ、山に入るハイカーも増えてくるのですが、それと同時に目撃や被害が増えてくるのが「熊」の遭遇です。
2016年は熊被害が多く報道された年でもありましたが、その原因は2015年に山で木の実が豊作で子熊が多く生まれたことが挙げられました。しかし、2016年の秋〜冬は山の木の実が大凶作で、その関係で多くの子熊(熊)は冬を越せないのでは、という想定もありました。

ところが、実際には2016年の冬は暖冬傾向であったこともあり、どうやら越冬した熊が多かった可能性があります。実際、昨年よりも早く、そして多くの熊の目撃情報が各地で寄せられていることから、今年もまた熊への警戒は十分にしておくべき、と考えられます。
(もちろん、どの時でも山に入るなら本来当たり前なんですけどね)

さて、前述のとおり熊対策として、山に入る時に必須ともいえるアイテムが「熊鈴」です。
言わずもがな、役割は「熊に人間の存在を伝えて、近寄らないようにする」というものです。
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自分も山に入るときは、ほぼ必ずと言っていいほど熊鈴を携行し、実際に鳴らして歩いています。
ソロが多いという事もありますが、仲間内で行くときでも基本的には鳴らすようにしています。
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自分は過去に、「熊」に3回(もしかしたら4回)遭遇しています。
1つは尾瀬で、至仏山に登るときの登山道。
1つは丹沢、宮ケ瀬の林道付近で車の中から。
1つは同じく丹沢、檜岳山稜に向かう途中の峠付近にて。
(その前に奥多摩の浅間尾根で目の前を巨大で黒い物体が横切ったことがありますが、あれが熊だったかイノシシだったか未だに不明)
それもあってか、山において「熊」という存在については、とても敏感というか、結構恐怖心を持っていることも、熊鈴を携行している大きな理由です。


ところがこの熊鈴、しばしば山ではトラブルの元となったり、議論の対象になったりしますね。
「そもそも熊鈴の効果については眉唾ものだ」
「鳴らしていると音がうっとうしい、うるさい」
「他人に迷惑」
etc・・・

実は、Twitterでは少しつぶやいたのですが、3月の丹沢ハイクの時、こんなことがありました。
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戸沢から天神尾根で登っていたときの話です。

この日は例のごとく寝坊して、スタートはやや遅めの6時30分。すでに辺りも明るくなっていた状態です。ソロだったことや、過去に熊の目撃情報がある(2015年の3月)天神尾根を利用するため、いつものごとく熊鈴を携行し尾根を歩いていました。

やがて前方に、ややスローペースのハイカーが現れます。
急登でもある天神尾根に苦慮しているのか、歩みはゆっくりで、結構辛そうに見えました。
そのハイカーに追いついた自分は、挨拶がてら
「こんにちわ」
すると、そのハイカーから返ってきたのは
「熊鈴、要ります?」

一瞬「え?」と思いましたが、

自「ここの尾根は以前熊の目撃情報があったので着けてるんです。」
ハ「いや、出るわけないっしょ(苦笑)」
自「は?」

最初の挨拶をしてから、あまりに予想外の返答だったのでかなり驚きました。が、まあ、熊鈴うるさかったかな、と思って

自「ああ、うるさかったですかね?(すみませんねぇ、というニュアンスで)」
するとそのハイカーからは
ハ「うるさい。」
自「(???)」

ああ、これは明確にいちゃもんをつけられてるんだな、と気づくのに数秒かかりました。
が、
自「まあ、でもそんなことを貴方に言われる筋合いもないんでね。」
と言い残し、そのハイカーを一気に引き離して先へと進みました。

とまあ、こんなやり取りがあったわけです。
自分としては、ソロだし、天神尾根は通る人はいるとはいえ一応破線ルートなので、メインルートよりは当然ハイカーも少ないのでリスクを回避する意味もあって熊鈴を鳴らしていたのですが、それも分からずただただ文句を言われるとは正直思いませんでした。

これがもちろん、人通りの多い大倉尾根でならまたちょっと話は違ってくると思います。
が、場所は破線の天神尾根。かつこちらはソロ。寝坊したとはいえまだハイカーも少ない朝7時前後。
自分としては、山に入る身としては必要なリスクヘッジをしていたにすぎません。

ここで問題となるポイントは、

このハイカーが、「熊なんて出るわけない」という思考を言動の原理にしていること

という点です。

「〜なわけない」という思考は、山では最もやってはいけない思考です。
自動車の運転免許を持っている人なら、教習所で同じことを注意されたかもしれません。
「○○だろう運転は絶対だめ!」

要するに、
「歩行者が飛び出してくる訳ないだろう」→スピードを出し過ぎる
「前の車が急に停まるわけないだろう」→車間距離を取らない

という事と同じで、運転する以上人が飛び出してくることはあり得るし、前の車が急ブレーキをすることもあり得ます。
山も同じで、そもそも動物たちが主として生活している場所に入っていくのに、
「熊が出るわけないだろう」という理論は全く持っておかしい訳です。
(ここで、熊鈴を鳴らしていれば避けられるかどうかというのはまた別軸の問題)

こういった「〜なわけないだろう」という、いわば思考停止ともいえる行動は様々なトラブルの引き金になりかねません。
転ぶわけない
崖から落ちるわけがない
落石なんてあるわけがない
熊がでるわけない


これ、全部山では
転ぶかもしれない
崖から落ちるかもしれない
落石があるかもしれない
熊が出るかもしれない

と考えるべきことです。
他にも、下界での日常生活では思いもしないトラブルが起きるのが山の中。
「〜かもしれない」というトラブル想定とその対処を考える、行動することは決して無駄でも文句を言われることでもありませんし、そんな筋合いはない訳です。

ちなみにこの時は大倉尾根に出ても人がさほど多くなかったので熊鈴は鳴らした状態で歩いていました。途中の山荘に立ち寄った時は、もちろんちゃんと消音していましたよ。


今回のケースから自分が言いたいことは2つあって、

〇海貌るにあたって、熊鈴の携行は人間側の、熊に対するマナーでもあること。
◆屐舛覆錣韻覆い世蹐Α廚任呂覆「〜かもしれない」という思考を行動の指針としてほしい、という事。

です。

これから楽しい夏山シーズンも近づいていることですし、皆さんが事故や遭難にあわないためにも、一度自分も含めて山における自分の行動の見直し、なんてことをしてみるのもいいかもしれませんね。