その時へ向かって。
DSCN5362_R
5年越しの奥秩父主脈縦走、完結。
 

DSCN5309_R
 笹平から破風山(西破風山)へのトレイルは急登+ガレ場続き。
さらに西から東へ抜ける風が猛烈に吹き付け、汗をかいたその場からどんどん冷えていきます。
放っておくと低体温の恐れもあることから、シェルを1枚羽織って先へと進みます。

DSCN5313_R
振り返ると、先ほど降りてきた木賊山の姿。甲武信ヶ岳の姿はもう見えなくなっています。
それにしても・・・こうやってみると、木賊山もなんだか山容がたおやかで、味のある山、な気がします。山頂からの展望はないけれど、シラビソの素晴らしいトレイルがあるし・・・もしかしたらこっちが百名山になってもおかしくなかったかも。まあ、個人的な意見ですけど・・・。
それにしても強風、いや、暴風に近いです。破風山の山頂に向かって標高を上げるに従い、樹林帯を抜け、あたりはハイマツ帯に変わって遮るものがありません。露岩も多く、ここはバランスを崩さないよう慎重に歩を進めます。

DSCN5315_R
暴風と露岩のトレイルを抜けて、6:15、破風山(西破風山)に到着!
・・・・避難小屋の客人は山頂から富士山が見えるかもね!なんて言っていたけど、そもそも展望の効かない山頂、こりゃ晴れていても多分富士山はあまり見えなかったんじゃないかな・・。
取りあえず、見るものも無いので先へと進みます。
DSCN5320_R
破風山、って1つかと思っていたら西破風山と東破風山とがあるんですね。
これは西と東の間のトレイル。露岩の出ているところがルートなのですが、これがまた結構滑りやすくて、何度かヒヤっとしました。

DSCN5321_R
15分ほどで東破風山に到着。
こちらもやはり展望は無し。先に進もうとしたら、先方から中学生?くらいの登山部の団体が登ってきました。
多分前日は雁坂小屋に泊まってたんでしょうね。ここはトレイルも細いので5分ほど通過待ち。

DSCN5325_R
破風、という名前っぽい荒々しい感じのトレイル。
うーん、やっぱり前日に無理してこんなところ歩かなくて良かった・・!

DSCN5327_R
荒っぽいトレイルを抜けてたら今度は何とも牧歌的というか超歩きやすい熊笹のシングルトラックですよ。
誰もいないし、「ヒャッハー!」って感じで駆け下りちゃいます。

DSCN5328_R
風の抜けるところでは相変わらずガスが物凄い勢いで稜線を駆け抜けていきます。
2日目は、本当にコロコロと表情を変えるトレイルで、ちょっと寒かったけどそれ以上に楽しかったですね。

DSCN5329_R
楽しくはあったのですが一つ不安だったのが「熊」です。
この辺りは生息域で、某データでは、高気圧から低気圧に転じるその境目のタイミングは熊が興奮状態になりやすいとのこと。しかも朝も早め、かつガスが出ている状況と来れば熊にとっては格好の行動条件になります。
こちらはソロで、辺りにもハイカーが常にいるわけではありません。
という事で、取りあえず熊鈴を大きめに鳴らして歩いてました。

※熊鈴の有効性については賛否両論あり、最近自分もあまり使いたくない(熊鈴の音でむしろ気配や音が分かりにくい)というのもあったのですが、なにせソロだったので一応、使っておきました。

DSCN5330_R
東破風山から30分ほど、7:05に雁坂嶺に到着。
相変わらずのガッスガス。この先の雁坂峠は、晴れていれば展望の素晴らしいところなので何とかガスも抜けてほしいところなのですが・・・。

DSCN5331_R
展望が良く成る事を期待して、いざ雁坂峠へ。

DSCN5333_R
7:21、雁坂峠到着!
うーん・・・ガッスガス・・・。

そして、この時点で3年前の雁坂小屋へのハイクの部分と、今回のハイクが繋がりました。
今回の縦走2日目、足の調子と、天候次第で、最悪ここでエスケープをするかどうかの最終判断をするつもりでした。
幸い、足についてはは疲労はあるものの歩けないような痛みはありません。
天候は、確かにガスだし、もしかするとこの先雨も降ってくるかも知れません。が、現時点ではまだ大丈夫。
ペースもかなり早目で、CTでは1時間以上の巻きが出来ています。

残すは、雁坂峠〜雁峠間のトレイルのみ。
水晶、古礼、燕の3つのピークを越えれば、奥秩父主脈を繋げることができます。
なら、行くしかないでしょう!

DSCN5335_R
ガスガスの中、いざ雁峠へ!

DSCN5338_R
DSCN5342_R
歩き始めて数分。
もう雨が降ってくるのも覚悟の上で歩いていると、なんと日が差し込んできました。
しかも、水晶までのトレイルは前日を思わせるような、瑞々しい苔に溢れたトレイル!

DSCN5343_R
こんなに変化に富んだルートだったなんて。
この光景を目にしたとき、この日イチ、テンション上がりましたね!

DSCN5345_R
一気に明るい雰囲気になった水晶山の山頂。7:55通過。
DSCN5346_R
やっぱり、「山」はいい・・・。

DSCN5347_R
続く古礼山は、実は巻き道があります。
あるんですが、もうここまで来ると「全部拾ってく、悔いのないように!」としか思えません。
なのでこの急登もひーひー言いながら登ります。

DSCN5349_R
8:12、古礼山。
ちょっとここで小休止。持参していた黍団子を食べようと思ったら、気温が低くて硬くなってしまい食べられませんでしたwなので羊羹を1つ食べて先へ進みます。
DSCN5350_R
ちなみに古礼山の山頂の直ぐさき(雁峠側)にはベンチがありました。
辺りも開けているので、天気が良ければピクニック気分で気持ちよさそう。

DSCN5351_R
再び牧歌的トレイル。ここはフカフカで本当に走りやすかったです。場所によっては絨毯みたいなところもあったり。
DSCN5353_R
前方ガスがかかっているのが最後のピーク「燕山」です。
このピークを超えれば、あとは雁峠に向かって下っていくだけ。

と、思うとなんだか色々な思いが廻ってきました。
今回の奥秩父を歩いて改めて思ったのは
「どんな状況だろうが、一歩ずつ足を出すことでしか前には進めない」
という事。
山を歩くことって、実際は辛かったりすることの方が殆どだと思うんです。その中で、ふと目にする光景や、例えば他愛もない仲間との会話だったり、そういったちょっとしたことがあって、結果的に救われているような気がします。
辛いことも、楽しいことも、ちょっとずつ積み重なって、その全部が目指すゴールへと繋がっている。
ここのところ、前ほど山に行けなくなって、忘れかけていたことを思い出させてくれたなあ、と、そんなことを、このトレイルを歩いている時に思いました。

DSCN5355_R
この2日間、辛かったこと、楽しかったこと、そのすべてが今ここに立って、歩いている自分に繋がっています。
そして、また一歩前に足を出して、また出して、、それが最後に繋がる場所、そこが目指すところ。

何となく、一歩一歩踏み出す足に力がこもった感覚。
その感覚のままに先へ。

DSCN5357_R
DSCN5356_R
8:43、今回のハイク最後のピーク「燕山」を通過。

DSCN5360_R
やがて、積み重なった一歩の先に、目指す光景が見えてきました。

DSCN5362_R
そう、ここへ、いつか繋げようと3年前のあの日思って、そして奥多摩へと向かって歩き出しました。
その場所がもう目の前に。

DSCN5364_R
DSCN5366_R
8:56、雁峠。
この瞬間、奥秩父主脈縦走をセクションハイクですべて繋げました。

誰もいない雁峠は、まるで自分だけがここに来る事を待っていてくれたような、そんな気もしました。
草原の峠、見慣れた笠取山の姿、ああ、懐かしい!

誰もいない雁峠で、ベンチに腰かけてしばしぼーっとします。
相変わらず風は強いけど、興奮状態なのか心地よいくらい。
今まで、この縦走路を数えきれない人が歩いている訳で、自分はそのうちのたった1人でしかないのですが、それでも自分の歩いてきたトレイルの物語は、やっぱり自分にしかないわけです。
上手く言えないんですけど、山ヤってエゴイストが多いって言われるじゃないですか。
そうだと思いますよ、だってこういう実感というか達成感というか、想いってやり遂げた自分にしか返ってこないんですから。
そして、なんで山歩くんだろう、という漠然とした疑問についても自分なりの答えが見つかった気がします。
キレイな景色を見るのも、いい写真を撮るのも、楽しい仲間と歩くのも、ドMなトレイルを歩くのも、全部、「自分だけの山の物語」を作りたいからなんだなあ、と。

こうして、足掛け5年に渡る奥秩父主脈縦走路を繋げる旅は、一旦完結することとなりました。
ここからは先は、今回の山旅のエピローグ。

DSCN5369_R
DSCN5374_R
DSCN5383_R
DSCN5385_R
雁峠を後にして、熊がいないかビクビクしながら沢沿いを歩き、亀田林道を足早に通り抜けて、新地平に着いたのが10:19。この時点で山梨市駅行きのバスは既に通過済みだと思って、時間後のバスに乗ろうとトイレで着替えをしようとしたその時、なんとバスが目の前を通過!どうやら道の駅みとみからの出発が遅れていたみたいで・・・バス停で待っていれば乗れたのに!
仕方ないのでトイレで着替えて、営業してるのかどうかよくわからない商店の軒先でぼーっと一休み。
流石に甲武信小屋から新地平までの約17kmのトレイルを、テント泊装備で5時間で歩いたので下半身はガタガタでしたw

そのあとは11時25分に来たバスに無事に乗車、山梨市駅から中央本線に揺られて帰路に着きました。
帰りの電車の中では、流れる車窓を眺めながら無事目標達成の一人カンパイ。
DSCN5386_R
余韻に浸りつつ、心地よい電車の揺れと酔いと、疲労感でいつの間にか眠っちゃってました。

今回のハイク、結構自分では色々と出し切れた感じのハイクでした。
もう7月に入って夏山シーズンですが、今年は回数行けない分、こんな感じで出し切るハイクを、また計画したいですね。

最後のエントリーは色々詰め込んでかなりながーくなってしまいましたが、読んでくれた皆様、ありがとうございました!


◆登山データ
<1日目>
大弛峠(9:21)→前国師岳(9:46)→北奥千丈岳(9:53)→国師ヶ岳(10:05)→国師のタル(10:58)→東梓(11:28)→両門ノ頭(12:04)→富士見(12:30)→水師(13:04)→源流ルート合流点(13:13)→甲武信ヶ岳(13:37)→甲武信小屋(13:47)→泊(19:54就寝)

<2日目>
(3:10起床)→甲武信小屋(4:57)→木賊山(5:09)→賽の河原(5:25)→笹平(破風山避難小屋)(5:40)→西破風山(6:15)→東破風山(6:32)→雁坂嶺(7:05)→雁坂峠(7:21)→水晶山(7:55)→古礼山(8:12)→燕山(8:43)→雁峠(8:56)→亀田林道ゲート(10:11)→新地平(10:19)