ちょうど1年前のGW、雁坂小屋でお会いして以来、何かとお付き合いさせて頂いているガレージブランド「atelierBluebottle」。
今回、ご縁があってその新作バックパックの「PAC-S」をモニターさせていただくこととなりました。
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最近ではネットメディアでも取り上げられることの増えてきたガレージブランド「atelierBluebottle」。
従来発売されていた同ブランドのバックパックとしては、「PAC-03」のラインナップがありました。
こちらは容量が36L(実際には40〜50Lクラスの収納能力があります)で、どちらかと言うと比較的ULライクな1泊〜2泊程度の山行がターゲットとされたモデルでした。

今回リリースされた「PAC-S」は、その下位を埋めるモデルと言えます。
とは言っても作りはかなりしっかりしてますよ。
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全体の見た目。フロントと左右に配置された大きなポケットと、すっきりとしたメインコンパートメント部分が印象的なシルエット。
パッと見山用なのかどうなのか?と迷ってしまうほどのシンプルさです。それもそのはず、このバックパックのコンセプトは「街中から山の上まで」、シチュエーションを選ばず使えるよう事が第イチなのです。
シチュエーションを選ばず・・・と言うとヘビーデューティーな雰囲気がしますが、それとは正反対で、あくまでシンプル、それを突き詰めた結果としてのデザインであれば、それはある意味普遍的なものであり、だからこそどのようなシーンで使ってもフィットする、と言うのがその意図として込められたものだと、解釈しています。

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使われている素材はX-PAC。
最近X-PAC素材を使われたギアも見かけるようになりましたね。この素材の特徴は、ざっくり言えば兎に角丈夫。多少ラフに扱ったところでびくともしない生地のタフさには、山で使う上での安心感があります。
引き裂き強度だけで言えばキューベンもありなのでしょうけど、あちらは本当に生地が薄くて、狭い日本のトレイルではブッシュに引っ掛けて簡単に破れてしまいそう・・・という心配事が常に付きまといますが、X-PACではそんな心配はありません。
そしてその構造ですが、大きく背面、前面、ポケット部分と、この3枚の生地だけを縫い合わせて作られています。縫い合わせる部分が少ないという事はそれだけ「壊れにくい」という事です。
山の道具は、大げさに言えば、場合によっては自分の命を預けることになるかもしれないものです。なのでまず信頼できるギアであることは重要ですが、その最たるものが「丈夫さ」でしょう。この点での安心感はとても大きいです。
これだけタフな素材にも拘わらず、前述のようなヘビーデューティーさが無いのは、その徹底したシンプルなデザインによるところが大きいのかもしれません。

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ショルダーハーネスはかなり幅広な構造。ハーネスの厚み自体は一般的なものですが、その分幅がある事で荷重を分散して疲れにくい構造になっています。また、幅が広いことで背負った時の安定感もかなり高いです。
ちなみにこの「PAC-S」はハイドレーションには対応していません。
そのためボトルを使用するか、もしくは前面の大きなフロントポケットにハイドレーションをセットして使う、と言うのは方法としてはアリかもしれませんね。

また、各部の裁縫ですが、すべての部分で3重に縫い付けてあり、特にショルダーハーネスは背面パネルだけではなく本体側の生地にも縫い付けられています。
可能性はほぼゼロでしょうけど、万が一この付け根がほつれてくるようなことがあったとしても、本体側にも縫い付けてあるのでそう簡単に背負えなくなってしまう、という事にはなりにくいと思います。
このあたりは、元が鞄職人さんだったブランドオーナーのこだわりのポイントです。
サコッシュの時にも感じたのですが、細かい部分の造りは、UL系のギアにありがちな雑さは一切ありません。

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メインコンパートメント。
背面側にはポケットがついていて、ここには標準のウレタンパットが入っています。
写真では山行用のアストロフォイルを入れています。

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標準のパット。かなり厚みがあって、厚さは約1.5cm。


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実測値で450g。かなり軽量ですね。



さて、それでは気になる実際のパッキング能力について。
今回、テーマを「初夏の奥多摩1泊ハイク」を前提に荷物をチョイスしてみました。

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・1泊分の食料(3食分)
・アストロフォイルのマット
・シェルター(NEMO META1P
・シュラフ(ナンガ250DX)
・マット(NEMO ZORショート)
・レインウェア(ORヘリウム競献礇吋奪函▲僖鵐帖
・クッカー(ミニトランギア)
・ダウンベスト、ダウンパンツ
・ヘッドランプ(Blackdiamond ReVolt
などなど・・・

これにあとは水、お酒、行動食などが入りますが、だいたいのベースになるのがこのあたりでしょう。

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パッキングした状態がこちら。ロールトップ部分はまだだいぶ余裕があります。水やお酒を入れてちょうどいいかなーといった感じ。
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フロントポケットにはカップ、ヘッドランプ、コーヒー、歯ブラシなど細かいものを入れています。

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この状態でのパッキングウェイトは約5.5kg。
なかなかの軽量さ。水とお酒で3kg増えたとしても8.5kg。だいぶ余裕があるウェイトです。

ちなみにBlackdiamondのRPMと比べてみると
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こんな感じ。
縦に細長いRPMとは対照的に横に幅広なPAC-S。
これはクライミングパックとそうではないパックとの性格の違いは明確に出ているところです。

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横から見ると、かなりマチが大きいことがわかります。
このため縦方向にはそうでもないのですが、前後方向には余裕があるのでテントやシュラフを入れてもかなり楽にパッキングが出来てしまいます。パッキング能力だけ見ればRPMよりも上、と言っても過言ではないでしょう。

ただし、このスタイルには1つ気をつけなければならない点があって、それは岩場が続く狭いルートでは、バックパックの動きに神経質にならざるを得ないという事です。ここまでマチがあると狭いルートを通過するときにバックパックを引っ掛けないように注意が必要になります。
もっとも、このバックパックの性格上、そのようなシビアなルートはターゲット外だとは思いますが、そうでなくても狭い場所を通過することは一般のハイクでも十分想定できるので、この辺は使い手が留意しておくべきポイントでしょう。

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ストックをサイドポケットに入れてみたところ。こう見るとその大きさが良く分かるかもしれません。
そしてZポールなんかの方が似合いそう・・・。


ファーストインプレッションとしては、このPAC-Sはやはりメインはデイハイク、そしてたまにミニマルな1泊程度のテント泊、と言ったあたりがターゲットになるでしょうか。
そして感じたのは、どうしても山を主体で考えがちですが、このパックは良い意味での「山臭さ」が無い、もしくはすごく薄いんですよね。これがバンジーコードがあって、デイジーチェーンがあって、ハイドレーションも対応して・・・となると途端に山臭くなると思うのですが、それが無いおかげでちょっと街中に出掛ける時にも使いやすいデザインになっていると思います。
そういった意味ではより日常に密接したシーンで使い、かつ非日常である山も行けるという、ある意味万能選手のようなパックです。

マスプロダクトにありがちなガチガチの山臭さが好みではない女子ハイカーや、よりシンプルなハイクスタイルを求める人、ストイックまでは行かないULハイカーなどには、おすすめのパックかもしれませんね。

幸い、世間はGW。
山に行く機会もあるので、このPAC-Sでのハイクについても次はレビューしたいと思います。